審議録

対象者:尾野原 卓志(48歳)
担当者A:本日はお越しいただきありがとうございます。まず、今回の長期治験アルバイトに応募された理由を教えていただけますか?
尾野原:(少し沈黙ののち)…生活に余裕がなくて。部屋代とか…支払いがあるんで。あと、船の上って静かそうだなって思ったんで。
担当者B:現在はお仕事をされていますか?
尾野原:いや、してません。…働いてた時期もありますけど、どこも長くは続かなかったです。人とあんまり…うまくいかないんで。
担当者A:乗船期間は37日間と長期になりますが、外部との連絡が制限される環境になります。その点は大丈夫ですか?
尾野原:連絡取る人…いません。兄はいますけど、もう何年も会ってないですし。問題ないです。
担当者B:孤立した環境には慣れているという理解でよろしいでしょうか?
尾野原:(苦笑しながら)まあ、ずっと一人なんで。静かなとこは落ち着きます。
担当者A:確認ですが、パスポートはお持ちですか?有効期限が6か月以上必要です。
尾野原:たぶん…前に作ったのがあるはずです。家帰って確認します。
担当者B:これまでに精神科や心療内科に通院されたご経験はありますか?
尾野原:(一瞬間をおき)ないです。そういうの…あんまり信用してないんで。
担当者A:直近で体調不良や大きな病気などは?
尾野原:特には…。風邪もあんまり引かない方です。
担当者B:船内では他の参加者と同室になる可能性もあります。対人関係に不安は?
尾野原:(少し顔をしかめて)できれば一人部屋がいいです。でも…まあ、我慢はできます。
担当者A:生活習慣についてですが、喫煙や飲酒の習慣はありますか?
尾野原:タバコは吸います。酒は…ほとんど飲まないです。
担当者B:ストレスがかかったとき、どう対処していますか?
尾野原:(うつむきながら)…何もせず寝るか、外に出て歩くくらいです。あんまり、人と話すってことはないです。
担当者A:最後に、この治験の内容や条件についてご理解いただいていますか?
尾野原:はい。金額も…まあ助かりますし。大丈夫です。
担当者B:(目を合わせて)あなたにとって、この37日間はどんな時間になると思いますか?
尾野原:(しばらく沈黙ののち)…何もない時間になればいいと思ってます。うるさくないなら、それで。
備考(面接官記入):
・本人は静かな環境への適応には一定の自信を持っている様子。
・対人関係は極度に希薄だが、他者と物理的に共存する程度の耐性はあると見られる。
・金銭的動機が強く、安定した生活環境への願望もある。
・心理的観察において回避傾向が顕著だが、被害性・攻撃性は現時点で確認されず。
・生活態度・衛生面の課題がある。
