審議録

対象者:江崎 京子(35歳・山梨県在住)
担当者A:本日はお越しいただきありがとうございます。このたびは豪華客船「THESEUS」での37日間のクルーズ旅行にご当選されました。改めておめでとうございます。
江崎:……ありがとうございます。これは、光の導きだと感じております。
担当者B:今回は、ご出発にあたってのご希望やご不安な点をお伺いするヒアリングとなっております。ご自由にお話しくださいね。
江崎:はい……まず最初に確認しておきたいのは、船上での「祈りの時間」が確保されているかどうかです。私には、日々の霊的な奉仕がありますので、静かな空間と時間が必要です。
担当者A:はい、船内には礼拝や瞑想に使っていただける静かなルームもございます。ご自身のスタイルに合わせてご利用いただけますよ。
江崎:それは良かったです。あと……食事に関してですが、私は「期間」に入っているので、特定の食材——肉類や魚介などは口にできません。できれば、無添加・無農薬の菜食をご用意いただけると助かります。
担当者B:かしこまりました。個別の食事制限については対応可能です。事前にリストをいただけますか?
江崎:もちろんです。あと、娘のことなのですが——今回は同行できませんので、しばらく教祖様のもとでお世話になります。あの子も今、魂の試練の時にありますから。
担当者A:……娘さんのことは、気がかりではありませんか?
江崎:(間を置いて)いえ。教祖様の側にいれば、あの子の魂も正しい方向へ進みます。むしろ、私がこの旅に出ることで、何かが整うと感じております。
担当者B:なるほど……旅の中で特に楽しみにしていることはございますか?
江崎:夜の海ですね。あの闇の広がりの中に、時折浮かぶ“印”のような光があるんです。それを見ることで、新たな啓示を受けられる気がしています。
担当者A:……船旅がお心の浄化や発見につながると良いですね。
江崎:はい。この旅もまた、選ばれしものへの試練と恵みの両方であると、そう受け止めております。
※補足記録:
ヒアリング中、江崎氏は終始静かな口調で語るが、時折「教祖様」「浄化」「印」といった宗教的用語を多用し、一般的な旅行者としての感覚とは異なる発言が目立った。質問に対する応答は整然としており、論理的矛盾はないが、「娘を教祖に預けることへの不安が全く見られない」点は特筆されるべき。
また、「旅先で啓示を受けること」を明確な目的として掲げており、一般的なレジャー的期待は示されなかった。
