概要資料
茂木賢治朗¹, 刈谷正一²
¹ 帝栄学館大学 理学部 分子生化学研究室
² 株式会社KARIYA 代表取締役
要旨
本研究は、帝栄学館大学発の機能性成分「カーラ(KARA)」が、細胞内小器官(オルガネラ)の活性化を通じて細胞機能を維持し、加齢や慢性疲労に伴う生理的低下を軽減する可能性を明らかにすることを目的とした。特に、ミトコンドリア、小胞体、リソソームといった主要なオルガネラの活性変化に着目し、カーラの分子生理的効果を評価した。
in vitroモデルでは、カーラはATP産生量の増加、酸化ストレス応答の正常化、神経細胞および筋肉細胞における機能促進作用を示した。さらに、加齢モデルに対しては、細胞機能の若年水準への回復傾向が見られ、「生物学的年齢の進行抑制」としての有用性が期待される。これらの知見を基盤に、社会実装プロジェクト「Project-K」では、実用化に向けたサプリメント開発および臨床研究が進められている。
1. 緒言(導入)
細胞は生体機能の最小単位であり、その内部で機能を担う細胞内小器官(オルガネラ)は、生命維持に不可欠な役割を果たしている。代表的なオルガネラには、エネルギーを産生するミトコンドリア、タンパク質の合成や輸送を担う小胞体、老廃物処理するリソソームなどが存在する。これらのオルガネラは加齢や慢性的ストレスにより機能が低下し、代謝の非効率化や細胞死を引き起こす要因となる【Mogi et al., 2023】。
こうした背景のもと、私たちは、帝栄学館大学理学部分子生化学研究室における長年の研究により発見された植物由来機能性成分「カーラ(KARA)」に着目した。カーラは、細胞内オルガネラの活性化を通じてエネルギー代謝を促進し、細胞の恒常性維持に寄与する可能性を持つとされる。
本研究では、カーラの作用機序とオルガネラへの影響を、複数のヒト細胞株を用いた実験で明らかにし、同時に加齢モデルへの応用的効果を検証する。また、その成果を社会実装するプロジェクト「Project-K」の進行状況についてもあわせて報告する。
2. 材料と方法
2.1 試薬および機能性成分カーラの調製
カーラ(KARA)は、植物由来の天然抽出物であり、株式会社KARIYAの独自抽出法により分画・精製された高極性ポリフェノール混合体である。成分安定性および生理活性を担保するため、凍結乾燥粉末として保存・使用した。
2.2 使用細胞および培養条件
以下のヒト由来細胞株を使用した:
- 正常線維芽細胞(IMR-90)
- 神経幹細胞(hNSC)
- 骨格筋芽細胞(C2C12)
細胞はすべて37℃、5% CO₂環境下にて培養。細胞へのカーラ投与は、濃度10μg/mL、24時間または72時間で行い、コントロール群には等量の培地を添加。
2.3 オルガネラ機能評価系
- ミトコンドリア活性:ATP発光アッセイ、MitoTracker Red染色を用いた膜電位測定
- 小胞体ストレス応答:CHOPおよびBiP遺伝子のqPCR分析、XBP-1スプライシングアッセイ
- リソソーム活性:Lysosensor Green DND-189による蛍光定量測定
- オートファジー活性:LC3-II/I比およびp62レベルのウェスタンブロッティング解析
2.4 加齢モデル構築
加齢状態を模倣するため、IMR-90細胞に酸化ストレス(H₂O₂, 50μM)および糖化終末産物(AGEs, 200μg/mL)を72時間負荷し、オルガネラ機能低下モデルを作成した。
2.5 統計解析
GraphPad Prism 8.0を使用。各群3回以上の独立試験を行い、Studentのt検定によりp<0.05を統計的有意とした。
3. 結果と考察(前半)
3.1 ミトコンドリア機能の活性化
IMR-90細胞にカーラを24時間処理した結果、ATP産生量が対照群に比べて1.82倍に増加した(p<0.01)。同時に、MitoTrackerによる蛍光強度も有意に上昇し、ミトコンドリア膜電位が維持されていることが確認された。
AMPKのリン酸化(Thr172)も増強されており、エネルギーセンシング系が活性化していることが示唆された。これらの結果は、カーラが細胞のエネルギー恒常性を高める直接的な作用を持つことを裏付けている。
3.2 小胞体およびリソソーム機能の調整
小胞体ストレスマーカーであるCHOPおよびBiPのmRNA発現量は、カーラ処理によりそれぞれ35%、22%の低下を示した(p<0.05)。また、リソソームpHを反映する蛍光強度は平均21%上昇し、加齢モデルで低下していた酸性化能の回復が確認された。
これらは、カーラがオルガネラ間の連携(特にミトコンドリア-小胞体軸)の機能を回復させる可能性を示唆する。
3. 結果と考察(後半)
3.3 神経および筋肉細胞における応答性
神経幹細胞(hNSC)にカーラを48時間投与した結果、分化マーカーであるNeuroD1およびBDNF(脳由来神経栄養因子)の発現量がそれぞれ1.5倍、1.7倍に上昇した(p<0.05)。また、酸化ストレス条件下における神経細胞の生存率は、カーラ処理により35%改善された。
筋芽細胞(C2C12)では、カーラの処理によりMyogeninおよびMyoDの発現増加が観察され、筋管形成率の向上も確認された(+28%、p<0.01)。この結果は、カーラが神経細胞・筋肉細胞いずれにおいてもオルガネラ活性を介した機能的分化と代謝活性の強化を促すことを示すものである。
3.4 加齢モデルにおける「生物学的年齢」の維持傾向
加齢モデル細胞(酸化ストレスおよび糖化終末産物負荷)に対し、カーラを72時間処理したところ、下記の指標が「30代相当の若年群」に近い値にまで回復した:
- ATP産生能:対照老化群比 +32%(若年群との差1.1倍以内)
- オートファジー指標(LC3-II/I比):若年群と同等レベル
- p62蓄積:対照老化群の54%まで低下(p<0.01)
これらの結果から、カーラが加齢に伴う細胞の機能的低下を“緩やかに抑制”する働きを有することが明らかになった。
謝辞
本研究は、帝栄学館大学理学部分子生化学研究室の技術的支援および、株式会社KARIYAの研究資金提供により実施された。また、細胞実験にご協力いただいた研究補助員および分析スタッフの皆様に深く感謝する。
参考文献
- Mogi K. et al. (2023). Activation of Organelle Function by Novel Bioactive Compounds Derived from KARA. Cellular Metabolism Research.
- Mogi K. (2024). Organelle-Targeted Activation for Chronic Fatigue Model. 第15回日本細胞機能学会年次大会 発表要旨.
- Kariya S. et al. (2024, in press). Potential Therapeutic Applications of Organelle-Stimulating Nutraceuticals in Age-Related Decline. Applied Biochemistry Letters.
- 三千院 明 (2024). 「エピジェネティクスと加齢制御」. 帝都大学出版部.
- 茂木賢治朗・刈谷正一(2025). 「細胞内小器官の活性化による生活の質改善戦略」. 帝栄学館大学紀要.
