Archive 地域広報紙 2023年4月号 特集

「助けて」の声が届く社会へ
若きNGO代表が語る、子ども支援の今とこれから
— NGO「ぱぁら」代表・水島沙莉さんインタビュー
🌱 いま、子どもたちに何が起きているのか?
「ごはんはいつも、自分で作ってる」「親が寝てばかりだから、弟の面倒をみないといけない」――。
学校や地域の現場で、そんな声が珍しくなくなってきました。近年、親のケアや家事を日常的に担う「ヤングケアラー」、また衣食住や愛情の面で十分なケアを受けられない「ネグレクト」など、子どもたちの見えにくい苦しみが社会課題として注目されています。
そのような子どもたちに、静かに手を差し伸べる団体があります。NGO「ぱぁら」。子ども専用の電話・LINE相談窓口を運営し、「しんどい」「いやだ」と言える場を提供しています。
今回は、「ぱぁら」の代表である水島沙莉(みずしま・さり)さんにお話を伺いました。
🗣 「話せる場所が、ひとつでもあれば」
― 「ぱぁら」という団体を立ち上げたきっかけは?
水島:
私自身、家庭に安心できる場所がなかった子どもでした。父が日本人で、母がインドネシア人。文化の違いや孤立感もあり、つらいことを誰にも言えずに過ごした日々がありました。
でもあるとき、偶然話を聞いてくれた地域の保健師さんに救われたんです。ほんのひと言、「それは大変だったね」と言ってもらっただけで、自分の気持ちが否定されなかった気がして、すごく泣いてしまって…。
その経験が「ぱぁら」の原点です。話せる場所が、ひとつでもあれば、子どもは自分で自分を守れる力を持っている。そう信じて活動しています。
📞 電話・LINE…「つながれる窓口」を
― 実際には、どんな相談が多いですか?
水島:
家庭の不和、暴力、育児放棄、進路や自分の居場所についての悩みなど、さまざまです。とくに多いのが、「親のことで誰にも言えないことがある」という相談。ヤングケアラーの子も多く、「親の代わりに料理や掃除、下の子の世話をしている」「学校より家のことを優先しないと怒られる」と話す子が増えています。
表面上は元気に見えても、「夜は眠れない」「毎日、おなかが空いてる」とぽつりと言う子もいます。ネグレクトの背景には、親の精神的な不安定さや経済的困窮も多い。子どもはそれを「自分が悪いから」と思いがちなんです。
🧭 支援の入り口としての「ぱぁら」
― 子どもたちとどう関係を築いているのでしょう?
水島:
まずは、話すことを強制しないこと。何も言えなくても、ただ電話をつなげてくれるだけでOK。「寝るまで一緒にいて」「ちょっとだけ話したい」そんな声にも寄り添います。
SNSやポスターで「名前を言わなくてもいい」「怒られない」「秘密は守る」と伝えることで、子どもたちが安心して連絡してくれるよう工夫しています。
そのうえで必要があれば、児童相談所やスクールソーシャルワーカーなど、地域の支援機関と連携します。でも、何よりもまずは、子どもの声をまっすぐに受け止める存在でいたいと思っています。
🕊 子どもの命と尊厳を守る社会へ
― 今後の目標を教えてください。
水島:
今、「ぱぁら」のポスターを学校や公共施設に少しずつ広げているところです。将来的には、子どもたちが自分で「ここに電話していいんだ」と思える風景を、日本中に当たり前にしたいです。
そして社会全体が、“子どもを支えるのは家族だけじゃない”という認識をもっと共有してほしい。子どもは社会の一員です。誰かがしんどい顔をしていたら、「どうしたの?」と聞ける地域であってほしいと思います。
🔚 最後に、読者の皆さんへ一言
水島:
もしまわりに、元気がない子や、何か言いたげな子がいたら、そっと気にしてみてください。大人にできるのは、「見てるよ」「味方だよ」というメッセージを出し続けること。
そして、もしこの記事を読んでいる子どもがいたら伝えたい。あなたの気持ちは、大切にしていいものです。助けを求めることは、わがままなんかじゃありません。
📌 NGO「ぱぁら」について
子ども専用無料相談窓口
📞 電話:0120-XX-XXXX(平日16:00〜21:00)
💬 LINE相談:公式アカウント
※名前は不要、秘密厳守、匿名での相談OK。何度でも利用できます。

